top of page
  • 執筆者の写真morikawamk

「さよならくちびる」とクィア・ベイティング

卒研生の中にLGBTマーケティングに関する研究をしている学生がいます。

その学生と先日、個別面談をした際、“クィア・ベイティング”という言葉を初めて知りました。

皆さんは“クィア・ベイティング”ってご存知ですか?

クィア・ベイティングとは、「性的指向の曖昧さなどをほのめかして世間の注目を集める手法」のこと。

最近、アメリカの歌手アリアナ・グランデが新曲の中で「女性も男性も好きかもしれない」と歌い、同性愛者を釣るためのクィア・ベイティングなのではないかと批判されたそうです。(参考記事はこちら

他にも、英TVドラマ「シャーロック」の中の、シャーロック・ホームズとワトソン博士の関係も、あからさまに同性愛関係が描かれることはありませんが、そういう感情を匂わせる表現が随所にあり、クィア・ベイティングな作品だと言われています。

私は「シャーロック」の大ファンですが、確かにふたりの関係は恋人のようだと感じてしまいます。

こういった作品作りは、LGBTコミュニティに対する戦略的なマーケティング手法だと言われています。


さて、話は変わって、先月末から「さよならくちびる」という、セクシャルマイノリティーのキャラクターが登場する日本映画が公開されています。

この作品についても、先日の個別面談で話題に出たので、早速見に行ってみました。

内容をざっくり言うと、女性2人のフォークデュオに男性ローディ1人を加えた3人のロードムービーです。

門脇麦演じるハルは、音楽の才能があり、作詞・作曲をすべてこなしている、少し陰のある女性。恋愛対象は女性という設定ですが、特に過去の恋人の話とか、同性愛者的な表現は出てきません(初恋の人の話は出てきますが、その人とどうこうなったという設定はありません)。

デュオのもうひとりは小松菜奈演じるレオ。こちらは旅先で出会った男性とすぐ深い仲になってしまうような子で、かなり小悪魔的。でもそれは淋しさの裏返しで、いつも自分の本当の居場所を探しています。

そんなふたりの間を取り持つのは成田凌演じるシマ。元ミュージシャンで元ホスト。ハルに思いを寄せていますが、ハルが同性愛者だと知っていることもあって、行動には移しません。ただただ、ハルとレオをサポートし、ふたりの気持ちに寄り添います。


で、この映画、ハル→レオ→シマ→ハルの三角関係を描いた話だと言われてるんですが、私の目にはそんなふうには映りませんでした。

そもそもハル→レオって矢印行ってますかね。むしろ最初はレオの方がクィア・ベイティングな行動をしていたと思うんですが。

一緒にカレー食べながらハルの肩にもたれかかったり、キスしてきたり。

レオの方が同性愛者かバイセクシュアルかと思いました。

ここではオチは書きませんが、ひょっとするとこの映画の宣伝手法もクィア・ベイティングだったのかもしれません。




閲覧数:1,209回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page